「やります」と言ってくれたのに、なぜか動き出さない
お願いした仕事に対して、「やります」と返事はある。
その瞬間は、きちんと受け止めてもらえた気がします。
でも、数日経っても動き出した気配がない。
進捗を聞くと「すみません、まだです」と少し気まずそうな返事が返ってきたことはありませんか。
約束が破られたわけではないのに、
どこか置いていかれたような感覚だけが残ります。
自分の中では「今やらないと困る」と感じている。
でも相手はそこまで切迫していないように見える。
もしかして、急いでいるのは私だけ?
この温度差は、私の考えすぎ?
相手を責めたいわけではないのに、
自分の焦りだけが浮いているようで、不安になります。
特にそれが、上司から任された仕事だった場合。
期限があったり、期待がかかっていたりすると、「進まないこと」そのものよりも、自分の立場が揺らぐことが怖くなります。
評価が下がるかもしれない。信頼を失うかもしれない。
本当はチームの仕事なのに、責任だけが自分に寄ってくるような感覚。
それが、焦りをさらに強くします。
不思議なことに、最初に出てくるのは怒りではありませんでした。
どちらかというと、説明しづらいモヤモヤ?
「なんでやってくれないの?」
と言い切るほどでもない。
でも、「このままでいいのかな」という違和感が消えない。
それはきっと、単なる遅れ以上の何かに引っかかっているからなのかもしれません。
優先順位が違うとき、人は何を見ているのか
私の中では、今いちばん大事な仕事。
でも、相手の頭の中をそのまま覗けるわけではありません。
もしかすると、私の「最優先」は、相手の中では三番目や四番目かもしれない。
優先順位は、声に出さない限り、意外と共有されていないものだなと感じました。
私から見ればサブの仕事でも、相手にとっては今抱えている案件こそが“本番”。
締切が近いもの、失敗できないもの、自分の評価に直結しているもの。
それが違えば、自然とエネルギーの注ぎ方も変わるのではないでしょうか。
「やります」と言った言葉は、嘘ではないのかもしれません。
ただ、相手の中では「今すぐ」ではなかっただけ。
先延ばしというより、順番の問題。
そう考えると、少しだけ景色が変わります。
そもそも、目指しているゴールが違っていたらどうでしょう。
私は「期限内に仕上げること」をゴールにしている。
相手は「全体のバランスを崩さないこと」を重視している。
同じ仕事でも、ゴールの置き方が違えば、優先順位は自然とずれていくのではないでしょうか。
そもそも、この仕事のゴールはどこにあるのだろう
あのとき交わした「やりましょう」という言葉。
その中に、それぞれ違うイメージが入っていなかっただろうか。
スピード感。
完成度。
責任の重さ。
言葉は同じでも、
見ている景色が同じとは限りません。
上司は「形にすること」を求めているのかもしれない。
現場では「無理なく回すこと」を優先しているかもしれない。
その間に立つと、どちらの声も理解できる分だけ、揺れます。
ズレは、誰かの怠慢ではなく、
立っている場所の違いなのかもしれません。
そして最後に、自分に問いかけます。
私は、何を守ろうとしていたのだろう。
期限?
成果?
それとも、自分の評価?
仕事が進まないことに焦っていたのではなく、
自分が不利な立場になることを怖れていただけかもしれない。
そう思えたとき、モヤモヤの輪郭が少し見えてきました。
それは「相手が動かないこと」ではなく、
“ゴールが曖昧なまま走っていたこと”への違和感だったのかもしれません。
おすすめの絵本
パンダどうぶつえん
作・絵: おおの こうへい 出版社: PHP研究所
あらすじ
これは、動物園の園長さんが「どうしたら動物園にお客さんが来るのかな…?」と悩むところから物語が始まる絵本です。
園長さんはある日思いついたアイデアでパンダを呼ぼうとしますが、集まってくるのはユニークな“ニセモノパンダ”ばかり。
仲間たちと試行錯誤しながら、ピンチをチャンスに変えていくストーリーになっています。
本当のゴールは、「パンダを呼ぶこと」だったのか。
目の前の手段にとらわれると、
私たちは時々、本来の目的を見失います。
仕事も、きっと同じ。
「やりましょう」という言葉の奥にあるゴールを、もう一度見つめ直してみる。
あのときのモヤモヤは、優先順位の違いではなく、ゴールのすれ違いだったのかもしれません。
それに気づけた自分を、少しだけ誇らしく思える、そんな感情が静かに湧いてくる一冊でした。


