相手が話を聞いてくれない理由と、関係が少し変わったきっかけ

思考の整理

どうしてあの人は、私の話を聞いてくれないんだろう

同僚と、今後の計画について話していたときのことです。

私は真剣に向き合っているつもりでした。
未来のことを考え、より良い方向に進みたいと思って意見を出していました。

けれど返ってくるのは、どこか否定的な言葉。

「それは難しいんじゃない?」
「現実的じゃないよね」

話すたびに、少し冷たい空気が流れるように感じました。

どうしていつもそんな態度なんだろう。
私の話、ちゃんと聞いてくれているのかな。

イラッとしたり、正直「ちょっと嫌だな」と思ったり。
相手が変わらない限り、この話し合いはうまくいかない。
そんなふうに感じていました。

ある昔話が、私の見方を少しだけ変えた

そんなとき、ふと目にした昔話があります。
「日本昔ばなし」で紹介されていたストーリーです。

昔、折り合いの悪い嫁と姑がいました。
姑は嫁をいびり、嫁も素直に従いません。
ある日、姑が病で寝込むと、嫁は医者に「毒」を求めます。
医者は「すぐには効かない薬だ。優しく世話をしながら飲ませなさい」と渡しました。

嫁は姑の命もあまり長くないと思うと嬉しくてたまりませんでした。
言われた通り、毎日やさしく薬を飲ませ続けます。
すると姑は涙ながらに「こんなに大切にしてくれてありがとう」と謝りました。

嫁は罪悪感に駆られて医者に駆け込みますが、医者は告げます。
「あれは毒ではない。ただの良薬だよ」と。

優しさを続けるうちに、二人の関係は少しずつ変わっていったのです。

放送回:0120-B 放送日:1978年02月04日(昭和53年02月04日)
演出・脚本:漉田實  美術:青木稔  作画:上口照人

この話を読んだとき、なぜか胸がざわつきました。

私は本当に、相手の話を聞いていたんだろうか。

振り返ってみると、私は「否定された」と感じていましたが、
同時に、私自身も「否定から入っていた」のではないか、と気づいたのです。

否定していたのは、意見ではなく「方向」だったのかもしれない

同僚との話し合いで、私は未来を描いていました。

ただ、その未来は「自分が思い描く方向」が前提でした。

相手の意見がそこから少しでも外れると、

「でもそれだと…」
「そのやり方は難しいんじゃない?」

と、自然に軌道修正しようとしていました。

否定しているつもりはありませんでした。
正しい方向に導こうとしている、そんな感覚でした。

でも今思えばそれは、自分が行きたい未来に、相手を添わせようとする態度だったのかもしれません。

それから私は、小さな実験をしてみました。

まずは最後まで聞く。
すぐに「でも」と言わない。

「なるほど、そういう考えもあるね」と一度受け止めてから、
「もしこうしたら、もっと良くなるかも」と提案してみる。

大きな変化ではありません。
ほんの少し聴き方を変えただけです。

けれど、少しずつ空気が変わりました。

同僚も以前より意見を出してくれるようになり、
話し合いの時間が、対立ではなく“すり合わせ”に近づいていきました。

時間はかかりました。
でも、関係は確かにやわらいだのです。

相手を変えるのは難しい。でも、自分を変えるのは思ったより簡単だった

あの昔話を読んだとき、私ははじめて気づきました。

私はずっと、「どうしたら相手が変わるか」を考えていたのだと。

でも実際にやってみて分かったのは、

相手を変えるのは、とても難しい。
けれど、自分を変えるのは、意外とすぐできるということでした。

「でも」と言う前に、いったん止まる。
否定する前に、最後まで聞く。

それだけのことでした。

相手が変わった、というより、
自分の反応が変わった。

その結果、空気が変わった。

相手をコントロールすることはできません。
でも、自分の態度や言葉の選び方は、今から変えられる。

それに気づけたことが、私にとって一番の収穫でした。

今回のお話では、絵本ではありませんが、短いお話として「日本昔ばなし」を取り上げさせていただきました。

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