価値観の違いに触れたとき、なぜこんなにもザワつくのか

思考の整理

価値観の違いに触れたとき、なぜこんなにもザワつくのか

昨日、ある人と食事をしながら聞いた話が、ずっと頭に残っています。
それは、仕事に対する考え方についての話でした。

内容を聞いた瞬間、正直に言えば、少し引っかかるものがありました。
それでも、なぜか話を途中で遮ることなく、最後まで聞いてしまった。
そして聞き終えたあと、自分の中に残ったのは、
「完全に否定したい気持ち」と「少しだけ分かってしまった感覚」が
同時に存在する、なんとも言えない状態でした。

その人は、今の職場に大きな不満があるわけではないと言います。
人間関係も悪くないし、仕事内容にもある程度のやりがいを感じている。
それでも、水面下で転職活動をしている、と静かに話してくれました。

もしそれが、自分と同じ職場で働く人の話だったら。
そう想像した瞬間、
「それって、裏切りじゃない?」
という言葉が頭に浮かんだのも事実です。

今すぐ辞めると決めているわけではない。
ただ、このまま何も考えずに働き続ける方が、
いずれ心や体が先に限界を迎えてしまいそうだった。

その人は、そう説明していました。

いきなり辞めて周囲に迷惑をかけるより、
静かに選択肢を持っておく方が、
結果的に今の仕事にも誠実なのではないかと思った、と。

理屈としては、確かに分かる部分もあります。
一方で、
「それでも、同じチームで働いている人に対してどうなんだろう」
という気持ちが消えたわけでもありません。

頭では理解しようとしているのに、
感情が追いついてこない。
そんな感覚が、ずっと残っていました。

そう感じてしまう背景を、少しだけ整理してみる

この違和感は、転職活動そのものに対するものだけではない気がしました。
もう少し奥にある「前提」が、
自分の感情を強く揺らしていたように思います。

仕事の世界では、
「今の会社に全力で向き合うこと」
「他を見ないこと」
が、美徳のように語られることがあります。

だから、水面下で別の可能性を探っていると聞いた瞬間、
「不誠実」「裏切り」という言葉が、
説明を理解する前に立ち上がってきてしまう。

言葉が先に感情を決めてしまうと、
その先の話は、なかなか入ってこなくなります。

一方で、仕事を続けるということは、
生活や健康、将来設計とも密接に結びついています。

会社を大切にすることと、
自分を守ること。
この二つは、本来は別のもののはずなのに、
現実ではしばしば同時に求められます。

その人の話は、
「辞める・辞めない」という二択ではなく、
壊れないための準備、という位置づけでした。

正しさを優先するか。
継続できる状態を優先するか。

その選択の仕方が、自分とは違っていただけなのかもしれません。

正解を決めなくてもいい、という安心感

話を聞き終えたあと、
自分の中に残ったのは、
はっきりした答えではありませんでした。

水面下で転職活動をするという行為自体に、
今も少し引っかかりはあります。
もし自分の身近な人だったら、
やっぱり複雑な気持ちになると思います。

それでも、
最初に感じた「裏切り」という言葉だけで、
すべてを片づけてしまうのは違う気がしました。

価値観の話は、
白か黒かを決めようとすると、どうしても苦しくなります。

考え続けていい。
揺れてもいい。
今は答えが出なくてもいい。

そう思えたことで、
少し肩の力が抜けました。

誰かの考えを聞くことは、
その考え方を受け入れることではありません。
一度外の視点に触れて、
もう一度、自分の感覚に戻ってくる。

その往復そのものが、
自分が何を大事にしているのかを知る時間なのだと思います。

否定せずに聞いてしまった自分を、
無理に責める必要はありませんでした。

納得しきれない部分が残っているのも、自然なこと。
答えを急がず、
「自分はどう感じたのか」を大切にしていい。

そんな静かな安心感が、最後に残りました。

おすすめの絵本

作: 内田 麟太郎
絵: 降矢 なな
出版社: 偕成社

あらすじ

『ともだちや』は、内田麟太郎が作、降矢ななが絵を担当した「おれたち、ともだち!」シリーズの第1作です。主人公のキツネは森の中で「ともだちや」を開き、1時間100円で友だちになるという不思議な商売を始めます。

さびしさから始まった商売ですが、オオカミとの出会いを通して「本当の友だちとは何か」を考える心温まる物語が描かれています。

森の仲間たちとのやり取りやキツネの一生懸命な姿を通じて、友情の価値が自然と伝わる1冊です。本作は「友だちってお金で買えるもの?」というユーモラスな設定を使いながら、真の友情は思いやりや時間を共有することにあるというテーマをシンプルに教えてくれます。

『ともだち』に対する、考えの違いを教えてもらった時のキツネの表情や心のザワつきをうまく表現しているなぁと思いました。

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